七五三撮影にもまだ間に合う 神社撮影のマナーを知るフォトグラファー × 宮司対談 | 新しいフォトグラファーの働き方 | Fourtrive

Menu

SPECIAL DIALOGUE

七五三撮影にもまだ間に合う 神社撮影のマナーを知るフォトグラファー × 宮司対談

鳥居をくぐったらまず何をする? どこを撮影するのはNGなの?
神社撮影を学ぶ絶好の対談。フォトグラファー必読です。

PHOTOGRAPHY SITUATION IN THE TEMPLE

七五三、お宮参り、初詣、ときには結婚式の前撮りまで。日本の精神性を象徴する神社は、撮影の舞台として絶好のポイントのひとつでしょう。しかし、あくまで神社は神さまの場所。神域です。この場でどのように振る舞うかは、各人に委ねられていますが、多くのフォトグラファーは神社撮影のマナーを学ぶ機会がありません。
そこでFourtriveでは特別対談を企画。10年以上、家族写真を撮り続けてきたファミリースタイルフォトの代表 織田隆一氏と、日本有数の古社である秩父今宮神社の宮司 塩谷崇之氏にご登場いただき、神社での撮影で気をつけること、心に留めておくことを話していただきました。

いま、神社撮影の現場で起きていること

織田:私はこれまで10年以上、家族写真を撮影してきました。その中で、神社撮影というものも数多く経験してきました。

塩谷:はい。

織田:神社撮影用の特別な研修を受けたわけではないので、神職の方にお話をお聞きしながら撮影を続けてきて、これまで大きなトラブルもなかったんですが、ここ数年少し事情が変わってきたなと感じます。 5年前ぐらいから撮影禁止の神社が見受けられ、ここ2年は大きな神社でも撮影禁止の立て札が出るようになり、さらにホームページにも「撮影はご遠慮ください」という表記が出る事態になっています。どうしたのかと神社の方に聞いてみると、どうやらカメラマンの行き過ぎた立ち振る舞いが原因でトラブルになっているようです。

塩谷:なるほど。

織田:今、急激に神社撮影初心者のカメラマンが増えています。そして、行き過ぎた立ち振る舞いも増えている。このままいくと神社での撮影ができなくなるかもしれません。そうなる前に、ちゃんと神社さまからのご意見をちょうだいし、多くのカメラマンに届けたいなと考えております。

塩谷:私どもの神社では、今のところ大きなトラブルというのはありません。ただ、神社さんによっては専属の写真屋さんがいて、そういうところは協力関係を築きながらやっていらっしゃる。そんな中に出張撮影のカメラマンが入ってくるのは非常に嫌がりますね。

あとはおっしゃる通り、マナーの問題です。いい写真を撮ることに真剣になりすぎて、ここが神さまの場所であることに思いが至らず、神社あるいは参拝者の方に不快感を与えることがあると、神社側としてはそういう人はこないでほしいということになります。

織田:おっしゃる通りだと思います。

塩谷:撮影することとお参りすること、これが逆転してしまうとまずいですよね。当たり前のことですが、神社というのはお参りにくる場所で写真の背景ではないわけです。

心がけたい、神さまへのマナー

織田:神社でカメラマンに撮影を依頼するご家族の中には参拝をすることなく、写真を撮るだけで帰る人もいます。ご家族もカメラマンもまず大前提として、写真を撮るための場所ではないことを理解する必要がありますよね。

塩谷:神社に入られたらそこは神様のお家なので、やはりまずその家の主人にご挨拶をする。手水舎で手と口を清めて、参拝をする。これがまず基本です。

また、被写体の方は挨拶をするとともに、カメラマンの方も付き添いで来ましたと神さまにお伝えしてください。もちろん心の中で結構です。カメラマンの方は、できれば社務所にて神主さんにこういう趣旨で撮影するとお伝えください。神さまと、神主さんにご挨拶をして撮影いただけたら、ほとんどの神社さんは悪い気はしませんし、神さまも優しく見守ってくださるのではないかと思います。

織田:そのほか、撮影する際に心がけるべきことはありますか?

塩谷:他の参拝される方への配慮は忘れずにしていただきたいと思います。 たとえば、一番見栄えがいいところに陣取って、いい瞬間を待つというのは他の参拝者にも迷惑になるのでやめていただきたいですね。

写真を撮るとき、カメラマンさんがモデルさんの気持ちを盛り上げるためにいろいろ声をかけたりしますが、静かに参拝したい方もいますので、そういう方の気持ちを害しないように気をつけてください。

織田:あくまで、こちらも参拝者のひとりであることを忘れずに行動する必要がありますね。

塩谷:はい。カメラマンさんにとっては被写体が主人公なので、いい写真のために手を尽くしたくなるのは十分に理解できますが、神社から見ると、その方もお参りに来た方のひとりですので。

また、これは神社特有のマナーですが、社殿の正面は神さまの通り道で、正中と呼ばれます。関係者はここを堂々と歩くようなことはしないですし、正中を横切るときは軽く体を曲げます。なので正中で写真を撮るということは、失礼に当たることをご理解ください。どうしても撮りたいなら一瞬で。

それと社殿での撮影ではさらに気を使う必要があります。正面から撮らない、フラッシュをたかない、ご神前を撮らない。
こういったことをすべて守るのは、素人の方にはなかなか難しいことでしょう。でも、プロの方にはその条件でもいい写真が撮れる技術をぜひ身につけていただきたいですし、それであれば神社側もプロの方の方がいいよね、という印象になると思います。

七五三を撮影することの意義

織田:神社で撮影する機会としては、私は特に七五三が多いと感じています。あらためて、この行事の意義を教えていただけないでしょうか。

塩谷:七五三というのは、子どもの成長した姿を神さまにご覧いただいて、成長を見守ってくださったことを感謝し、今後も見守りくださいとお願いする行事です

昔は、男子は袴を身につける、女子は着物を着て髪はあげるなどの儀式が日常にありましたが、今は七五三と成人式ぐらいではないでしょうか。そういう晴れ姿を神さまに見ていただく、それを神社は祝詞というかたちで神さまにご報告する。

日本の神道では言葉には魂が宿る、言霊信仰というのがございますので、自分の報告や願いを言葉にのせることによって神様の魂と一体となってまた自分に恵みをもたらしてくれます。ぜひこういった節目は神さまにご挨拶し、心の中の言葉でよいので報告してください。その上で、写真に収めていただけたら良いのではないかと思います。

織田:七五三の日が混むからといって、前後の日程で撮影することは大丈夫でしょうか?

塩谷:やむを得ないでしょうが、それを伝えることも含めてお参りですので、七五三には早いですが今日はこういう形でお参りにきましたと神前での祈りをしていただいて、その上で撮影してください。

正式なご祈祷が後日だとしても、気持ちだけでも、また改めて御祈祷に参りますが、今日はみなさんと喜びを分かち合うために撮影をさせていただきます、という心持ちで来ていただければ神社も嫌な顔をしないと思います。

カメラマンと神社の関係性

織田:お話をお聞きしていると、形の部分はもちろんですが、心のあり方が大切だと改めて感じました。

塩谷:そうですね。いろいろとマナーの部分をお伝えさせていただきましたが、根本にあるのは神さまを敬う気持ちです。

そして、前提としてあるのは、神社としてはお参りに来た方とのご縁ができるというのは嬉しいことですし、ご縁の中でいい写真を撮っていただくのは喜ばしいことなのです。神社さんによって考えは違いますが、ご配慮さえしていただければ、基本的に撮影をしていただいて困るというわけではありません。

うちはマナーさえ守ってもらえれば構わないですし、いい写真が撮れたらいただきたいと思うくらいです。

織田:写真を奉納するということでしょうか?

塩谷:はい。もちろんご家族の方のご了承が必要ですが、写真を神社にご提供いただくのは神社にとってすごくありがたいことですよ。大切な記録になりますし。神社もブログやSNSをやっているなかで、今日こんな七五三の参拝がありましたと報告もできます。

織田:それはいいことを聞きました。カメラマンの中には、神社での撮影の際には、撮影料などをどれぐらい納めた方がいいのか悩む方も多いと聞きますし、写真を奉納するという方法でお返しができるとしたら心が軽くなります。

塩谷:神社さんによっては対応も異なるかと思いますので、撮影の際には社務所にお立ち寄りいただき、奉納の旨をお伝えいただければと思います。もちろん、参拝料、玉串料を収めていただくのも結構です。神さまの家に上がる、そのお気持ちとしてお考えいただければよろしいのかなと思います。

織田:そうした丁寧な対応を続ければ、カメラマンと神社さんが、これからいい関係性を作っていくことも可能のように思えてきました。

塩谷:神社とカメラマンの関係は、ぜひ地元のつながりの中でできるといいですね。

神社というのは商売っ気をすごく嫌がるところがあるんです。でも、神社での写真撮影を地域の財産として育てていくという流れのなかであれば、神社さんも心を開いてくれるのではないかと思います。ぜひこれからも頑張っててください。

織田:はい。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。 今日は貴重なお話、本当にありがとうございました。

塩谷:こちらこそありがとうございました。

Photography:Naoki Kaji

マナーまとめ

神社撮影で心がけること

心がけ1
神社に入ったらまずは手と口を清めて参拝する
心がけ2
神さまの場所で、撮影させていただく、という謙虚な気持ちを抱く
心がけ3
社務所にて神主にご挨拶をする(玉串料などは各自判断)
心がけ4
正中(拝殿の正面)で撮影しない
心がけ5
よいアングルがあっても、他の参拝者が来たら避ける(陣取らない)
心がけ6
寝転んでの撮影など、神さまに失礼な態度は取らない
心がけ7
大きな声を出さない
心がけ8
社殿ではご神前を撮らない、フラッシュを焚かない

上記の行動以外でも、神さまの場所にふさわしくない行為は慎むのがベターです。
また、写真の奉納は神社さまによって対応が異なりますので、ぜひ社務所にてお尋ねください。
マナーを守って、素晴らしい神社撮影を。

PROFILE

プロフィール画像:織田隆一

ファミリースタイルフォト代表 織田隆一

八王子, 東京

ハウススタジオにて写真の仕事に携わり、その後独学でカメラの勉強をしフリーランスとして家族写真撮影を専門とした「ファミリースタイルフォト」を立ち上げる。
独特のコミュニケーション方法で子供の笑顔を引き出す撮影法により、子供の笑顔率はほぼ100%
近年はカメラマンとして活動する傍ら、家族を撮るフォトグラファーの撮影技術向上のため講師としてセミナーを開催しフォトグラファーの育成とサポートを行っている。

プロフィール画像:塩谷 崇之

宗教法人 秩父今宮神社 宮司 塩谷 崇之

秩父, 埼玉

秩父今宮神社は701年頃、役行者(えんのぎょうじゃ)がこの地に飛来して八大龍王を祀ったのが始まりと云われる、
埼玉県秩父市の中心部にある神社。今宮神社、八大龍王宮(はちだいりゅうおうぐう)とも称される。
秩父霊場発祥の地としても知られ、遠方から訪れる参拝者も多い。

SHARE

フォトグラファーとして
はじめる

プロとして活躍されている方、これからプロとして活動される方、
副業としてチャレンジしてみたい方、どんな方でもFourtriveは歓迎します。
カメラと、空いている時間があれば、まずはご登録ください。